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Nonagon Infinity

Nonagon Infinity
"Nonagon Infinity" from Discog
2016年5月29日発表
No.Track ListTime
1.Robot Stop5:22
2.Big Fig Wasp4:54
3.Gamma Knife4:21
4.People-Vultures4:46
5.Mr. Beat4:56
6.Evil Death Roll7:14
7.Invisible Face3:01
8.Wah Wah2:54
9.Road Train4:18

ビートを止めるな!キンギザの容赦なき攻撃性が牙を剥く"無限"地獄

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 全性、無限性、永遠性、極限…数学の授業で聞いたことのあるような言葉が心の中に次々と浮かんでくる、 キンギザの代表作です。タイトルからして"Nonagon Infinity(九辺形の無限性)"ですもんね。なんかとても理屈っぽい感じ。 しかし、蓋を開けてみれば、冒頭からとんでもないテンションで先入観をぶっ飛ばしてきます。 まあそれはいつものことなんですけど、明らかな違和感は"切羽詰まったシリアス感"です。 リズム性こそ"Mind Fuzz"でおなじみとなったキンギザらしいスピード感のあるミニマル・ハンマービートですが、 掛け声ひとつでコロコロと入れ替わる変拍子、メタリックで人間らしさの欠けたDiscipline以降のKing Crimsonを彷彿とさせるギターリフ、 アルバム全体に広がる重くダークな雰囲気…これまでの能天気な(褒め言葉です)キンギザとは明らかに一線を画しています。 そして曲と曲の隙間は完全に融解しており、我々に息つく暇を与えず矢継ぎ早に殺人的音楽を繰り出してきます。 きわめつけは、アルバムのループ構造。再生機のリピートボタンを押しておけば、機械が壊れるか電気が止まらない限りシームレスに9曲目と1曲目が繋がり、 永遠にこの地獄が終わることはありません。そういうギミック自体はこれまでに多くの音楽作品で採用されていますが、 大抵は最後の曲のお尻と最初の曲の頭にインタールード的なセクションが"のりしろ"として用意されており、そこがくっつくようになっていたものだと思います。 これによりリスナーはそこで聴くのをやめてもいいし、リピートさせれば自然な感じでループするわけです。 ですが、"Nonagon Infinity"は、このような"のりしろ"を用意せず、演奏の山場で強引にぶっちぎり、頭に繋げています。 つまり、リピート再生しないと、演奏の最高潮の最中、再生時間が終了した時点で、突然"ブツッ"と切れて終わります。 (また、必然的な代償として再生を開始した瞬間も"バー"というノイズが聴こえますね。) おかしいですよね?だから我々の選択肢としては、リピートするしか許されていないのです。ゆえにこの作品は真の意味で"無限"なのです。 アイデアとしては極めて単純ですが、私の知る限りではこのような手法は前代未聞なのではないかと思います(現代音楽などにはあるのかもしれませんが)。 単にデメリットが大きすぎて誰もやらなかっただけのような気もしますが、それでもお構いなくやってしまうキンギザは素敵です。
 これに関連して、ギャップレスで頭に繋がる構造上、再生メディアの形式によってその体験が大きく変わってしまうのに気をつけなければなりません。 レコードはもちろんリピート再生できないですし、CDでもリピート時に少しの間隔が空いてしまうと思います…多分(私は数年前にCDプレーヤーを壊して以降、CDを直接再生することはしなくなってしまったので検証できません)。 サブスクのストリーミング再生だと、Apple Musicはまったく違和感なく綺麗にリピートされましたが、TIDALだと妙な"被り"が発生して汚いです。他のサブスクは未検証。 私は普段Raspberry Pi(小さくて安価な低電力低性能Linuxボード)にVolumioという音楽再生・管理用OSを入れて、NASに保存した音楽をDACを通してアンプに繋げて音楽を聴いているのですが、この環境でも完璧に頭に繋がります。音質も良いしこの方法が推奨です。 参考にしてみてください。

全曲解説

 "Nonagon Infinity opens the door"という意味深な黒魔術的合言葉から、なんの助走もなくのっけから最高潮のM1"Robot Stop"。 個人的にキンギザの楽曲で最も好きなもののひとつです。スピード感のある8ビートから"1,2,3!"の掛け声で7拍子にシフトしいかにもな機械的ピロピロメタルフレーズが挿入されます。 とは言え基本はハンマー・ビート。変拍子の違和感を感じさせない自然なリズムチェンジが素晴らしい。 コーラス前の"My only difference, is robot influence!"という一節が本当にグッと来るんですよね。この部分が好きでキンギザにハマったと言っても過言ではありません。 またギターソロの部分では、M2"Big Fig Wasp"や、"Mind Fuzz"の"Hot Water"のフレーズがちょろっと顔を出します。 キンギザのソロはどれも"弾きまくる"のではなく、禁欲的に淡々とこなして曲の流れを壊さないのが魅力です。 このソロではキンギザでは初の"微分音"がさりげなく登場しているのも興味深いですね。 歌詞はキンギザの活動で多忙を極めたリーダーのStu氏が、生活を破壊されロボットのように働き続けなくてはいけない苦悩を吐露したもののようです。 人間は追い詰められると限界を超えたアウトプットをする、というのがこの曲を通じて感じられますが、たまにはちゃんと休息をとってほしいですね。
 もちろんシームレスにM2"Big Fig Wasp"に移行、これはM1のバリエーションといった感じの曲です。 この曲もコロコロと変化する拍子が特徴ですが、あまりに自然なシフトなので普通にめっちゃ踊れます。このような、全く違和感を感じさせない シームレスなハンマービートと変拍子のシフトは、以降の作品でも頻出するキンギザの得意技となります。 "Fig Wasp"というのはオーストラリアに生息する、イチジクの果肉に中に入り込んで成長する蜂、イチジクスズメバチのことらしいです。 蜂は大抵花に受粉させてかわりに蜜をもらうという共生関係を築くわけですが、イチジクスズメバチの中には受粉の役割を果たさず一方的に イチジクの果実を食べまくって成長するものもいるのだとか。そういう寄生行動を、地球と人間の関係に例えているのかな、と推測しましたが、どうなんでしょう。 曲のお尻には"Robot Stop"のコーラスが再登場して盛り上がったところで、M3"Gamma Knife"へ。
 まったく殺人的な流れです。ライブでも定番の人気曲です。まさしくナイフのような鋭い切れ味の最高速度で、フロアは狂乱の宴と化します。 基本は12拍子ですが"Gamma!"の掛け声が入るところだけ11拍子にシフトするのがとても気持ちがいいですね。 "Gamma Knife"とは脳にガンマ線(放射線の一種)を照射して腫瘍などを除去するれっきとした医療手術(ガンマナイフ[Wikipedia])です。 生き物の細胞を破壊し死に至らしめる恐ろしい放射線が、使いようによっては人の命を救うことにもなる、という含みがあると思われます。 この双極性は、"Nonagon Infinity opens the door"の結果、人智を超えた力により、カタストロフなのか救済なのか、 人間には判断のつかない何かが起こる、という本作のテーマに繋がっているのではないでしょうか? また、ミュージックビデオを見るとローブを纏った7人のおじさんが"Gamma Knife"を地面に突き刺すことで九芒星が出現しノナゴンインフィニティのドアが開く、そして"People-Valtures"の卵が降臨する、という描写があります。なぜおじさんが9人ではないのかはよく分かりません。 次曲"People-Vultures"のリフもチラチラと顔を覗かせ、緩やかな曲の繋がりを感じさせます。
 もうすでにお腹いっぱいだよお、という我々の叫びにまったく構うことなく、アグレッシブな名曲M4"People-Vultures"に突入します。 本当に、M1からM4の一連の流れはもはや音楽の暴力です。キンギザの作品はとにかく序盤に全力投球するのがお決まりのスタイルですが、 この作品はちょっと盛り沢山すぎやしませんでしょうか。1番から3番の打順に清原-松井-マルチネスを並べるような乱暴さです。 さておき、"People-Vultures"とはStu氏の造語のようですが、これは大衆が営んでいながら自らの意思では制御できない巨大なシステムと化している 、人の命を燃料に回り続ける現代資本主義の構造を暗喩している言葉なのかな?と思いました。 ミュージックビデオが面白いので是非みてほしいです。キンギザのメンバーが取り込まれた巨大なハゲタカに対して、日本の特撮 ヒーローと思しき人たち(クソダサいデザインなので正義なのか悪なのかいまいちわからない)が次々と戦いを挑むが、全員倒されてしまう、というものです。 メッセージ性を感じさせますが、単純に笑えますね。キンギザも日本の特撮が好きなんでしょうか?是非単独来日公演を行って中野ブロードウェイでも楽しんでほしいですね。
 M5"Mr. Beat"は、やっと小休止できる、という安心感が押し寄せる穏やかな曲で、陳腐な言い方ですが砂漠のど真ん中のオアシス的な存在。 Kraftwerkの"Autobahn"を思わせる牧歌的なメロディとがとても癒されます。でも実は変拍子バリバリのテクニカルな曲でもあります。 一応全体の曲の流れがここで一度リセットされるような形になるので、 リピート再生時も、聴くのをやめるのはここで、という人は多いかと思われます。キンギザの一抹の人情を感じさせます。彼らも悪魔ではなかった。 しかし、M6"Evil Death Roll"で再びロックンロール地獄に強制的に引き戻されます。
 はい!昼休憩終わり!さっさと仕事に戻れ!と工場長にどやされている労働者の気分になります。工場で働いたことないんですけど。 M6からM9は後半戦、相変わらず激しい展開が続きます。 7拍子と8拍子を自在に行き来するのはもはや当たり前。 7分超の長尺だけあって、さまざまな展開を見せます。 次曲の"Invisible Face"のコーラスが先取りされていたり、"Robot Stop"の上昇ペンタトニックリフが引用されていたりするのが面白いです。 "Death Roll"というのは、ワニが獲物を食いちぎるときに自らの体を回転させ引きちぎる動作のことを指しているらしいです。 それがこの作品にどう関係があるのかはよくわかりませんでした。すみません。単純にこの作品の容赦なき獰猛性を示しているのしょうか? "回転"が本作の無限循環を指しているのかもしれません。
 M7"Invisible Face"はシャッフルビートの変化球的楽曲です。途中からジャジーな展開を見せるのがプログレっぽいですね。 ストレートな曲が多い中、おっ?と思わせる意外性があります。するりと次曲M8"Wah Wah"つながるのがまたオシャレです。 "Invisible Face"とは神なのか悪魔なのかそれとも我々自身なのか?意味深な曲名です。だれか解釈を教えてください。
 M8"Wah Wah"は全曲"Invisible Face"とひと繋がりになっている、ジャズスタンダード"Take Five"を彷彿とさせる5拍子の曲。本作でも多用されているワウギターですが、 その泣くような音から悪魔が人間を泣き喚かせる例えが語られています。
 M9"Road Train"は超ド直球の高速スラッシュ・メタル。ズンズンとしたブリッジミュートと変拍子がとてもダサくていい。完全に初期メタリカですね。 曲調がメタルであれば、語られる歌詞もやはり悪魔について。"Road Train"とはオーストラリアで走るめちゃくちゃ長いトラックのことらしいです。 鉄道がない土地に貨物を運ぶために、コンテナを100m以上連結して道路をトレーラーで走るとのこと。日本ではちょっと考えられないですね。 爆音を轟かせながら荒野を突っ走る鉄の塊を悪魔の到来に例えているのでしょうか。 やはり"Nonagon Infinity"が開くドアは悪魔の降臨に繋がっていたのでした。 ちゃんちゃん。そしてまた地獄の始まり。間髪おかずM1"Robot Stop"に繋がります。無限ループって怖くね?

総評

 まったく、地獄とはまさにこの作品のことを言うのではないでしょうか。終わることのない拷問、救済のない使役。 それは、キリストの約束した"最後の審判"の否定、またはビッグバン仮説を拡張する宇宙のサイクリック理論というような、 ある意味で人間が最も恐怖している"無限"という概念に他ならないのです。あなたは永遠の寿命を手に入れたいと思いますか? そんな根源的な恐怖とブラック・メタルの"悪魔崇拝"が結びついているのが本作であり、そのコンセプトの慧眼は非常に鋭いと思います。 そんな概念的なことはさておいても、とにかく激しくて狂気的な 音楽が聴きたいんだ!というタバスコ中毒のようなリスナーにはうってつけの作品だと思います。 なにせ終わりがないわけで、物足りないという事態が起こりようがないのですから。 実際、私はこの作品を初めて聴いた時、朝から晩まで延々とリピート再生していました。途中うとうとと昼寝したら恐ろしい夢をみました。 このような中毒性は、キンギザの持ち味である直線的なハンマービートと反復するギターリフによるトランス性が軸になっているからこそ だと思います。正直言って個人的にメタル自体はそんなに好きではないんですが、それでもどっぷりハマれるわけですから。 一方で、全編まるまるヘビーでアグレッシブな曲が間髪入れずに続くため、非常に聴き疲れしますし、 ループ構造という性質上、飽きが早いかな、という気がします。前半(M1-4)に比べて後半(M6-9)の勢いが 若干しりすぼみしているような気がするのもちょっと残念。 この点では、本作の続編的な立ち位置の"Murder of the Universe"のほうが構成が巧みで、個人的には好きです。 本作が気に入ったらぜひそちらも聴いてみることをおすすめします。 同じプログレメタル路線ではありますが、爆発力では"Nonagon~"、構成力では"Murder~"という感じ。 と言っても、重要度で言ったら本作はキンギザを語るうえで絶対に欠かせない作品です。
 最後に、何故本作は"9"という数字に拘っているのか?という点について私なりの考えを述べて終わろうと思います。 "9"は我々が慣れ親しんでいる10進数における一番最後の整数です。当たり前ですね、9の次は10で、これは2桁目における0に一巡した、と言えます。将棋のマスは9x9だし、麻雀でも数牌は1から9ですね。このことから、世界中の宗教や神話において"9"という数字は完全性や循環性を象徴する数字として至る所で目にすることができます。エジプト九柱や九尾の狐など。個人的に面白いと思うのは日本仏教画の"九相図[Wikipedia]"で、これは諸行無常を理解するための修行に用いられる絵です。人間の死体が野外に放置され、次第に腐って朽ち果てて行く様子を9つの場面に分けて描いています。命なんて無意味なもので現世に執着する必要はないんだよ、という理念を視覚的に植え付けるわけです。数学的にも9にまつわる神秘的な性質はたくさんあって、その中でも興味深いのは"あらゆる整数を循環小数に変換できる"というものだと思います。好きな整数をひとつ思い浮かべてください。その数を、その桁数ぶんだけ9を並べた数で割ってください。例えば1984を思い浮かべたなら、9999で割ります。 電卓で計算してみると、その数字が無限に繰り返される小数が表示されると思います(0.198419841984…)。簡単に証明できる当たり前っちゃ当たり前の性質なのですが、このような完全性、無限性、永遠性、極限…(冒頭に戻る)

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